LAMYスイフトに三菱鉛筆スタイルフィット用リフィルを入れて使う
LAMYスイフト は美しいデザインと機能性を併せ持つ優れたボールペンです1が、その純正リフィルであるLAMY M66 の線幅は、漢字を多用する日本人には太すぎます。三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルを加工してLAMYスイフト に入れる方法を紹介します2。
手順の概要
- 三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルのサイズをLAMYスイフト 用に変換するパーツ2種類を用意します。
- 三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルに2種類のサイズ変換パーツを取り付けます。
- 三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルのペン先をLAMYスイフト の内部構造に合わせて加工します。
用意するもの
- 三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィル
- 三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルを買ったときに付いてくるポリプロピレン製ケース
- PILOTフリクションボール 用リフィル (使用済みのもの)
手順1. サイズ変換パーツ2種類の工作
- 三菱鉛筆スタイルフィット
用リフィルを買った時に付いてくるポリプロピレン製ケースのパイプ部分を、カッターで 72mm 切り取ります(これを「パーツA」とします)。
- 使用済みのPILOTフリクションボール
用リフィル
を、カッターでお尻の部分から12mm切り取ります(これを「パーツB」とします)。
この2つのサイズ変換パーツは、最初に1回作っておけば、繰り返し使うことができます。
手順2. サイズ変換パーツのリフィルへの装着
- 三菱鉛筆スタイルフィット
用リフィルのお尻をパーツBのお尻側にぎゅっとはめ込みます。
- 三菱鉛筆スタイルフィット
用リフィルのペン先側からパーツAをかぶせます。
手順3. リフィルのペン先をLAMYスイフトの内部構造に合わせるための加工
- LAMYスイフト のロック機構が機能するように、ペン先をカッターでテーパー状に加工します。
- ペン先が細いためのぐらつきを軽減するためにマニキュアを塗ります。
- 参考: リフィルのがたつきにマニキュア
これでできあがりです。
解説
LAMYスイフト の純正リフィル(LAMY M66 )の線幅は太すぎますが、純正リフィルはこの1種類しかありません(2025年3月現在)。個人的にはこの純正リフィルのインク自体もあまり好きではありません。また、この純正リフィルの形状はLAMYスイフト 独特のものですので、他社のリフィルとも同社の他のボールペンリフィルとも互換性がありません。
LAMYスイフト の純正リフィルに不満を持ち、三菱鉛筆ジェットストリーム のリフィル(uni SXR )を加工して、純正リフィルと取り替えて使っている方々がいらっしゃるようです。いくつかの異なる方法がウェブで報告されていますが、ベストと思われたのは「LAMYスイフトにジェットストリームの芯を入れてみました 」という記事に書かれたものでした。その記事に書かれた加工の内容は、以下の3ステップからなります。
- LAMYスイフト 純正リフィル(LAMY M66 )の長さ(110.5mm)に合うよう、ジェットストリームのリフィルの末端をカットする(約1mmぶん)。
- ペン先とプラスチックのインクタンクの継ぎ目の段差を、カッターでテーパー状に削り落とす。
- ペン先にセロハンテープを巻く。
最後の「ペン先にセロハンテープを巻く」は、uni SXR のペン先の径とLAMYスイフト の穴の径との差が大きいため、ペン先がぐらつくことへの対策です。 セロハンテープは剥がれてきて汚くなることがあるので、代わりにマニキュアを塗ってもよいようです。
同様の加工をすることでLAMYスイフト に入れることのできるリフィルは、三菱鉛筆ジェットストリーム のリフィル(uni SXR )以外にもあります。たとえば、PILOT G-2 用リフィルもその一つです。PILOT G-2 用リフィルはLAMYスイフト 純正リフィル(LAMY M66 )と長さが全く同じなので、カットする必要はありません。同じメーカーのPILOTフリクションボール やPILOT VボールRT も、PILOT G-2 と同じ寸法なので、同様にカットすることなく使えます。実は、PILOT G-2 用リフィルのサイズは、水性ボールペン(「ローラーボール 」とも呼ばれます)やゲルインクボールペンの世界では国際的に標準的な寸法です。欧米では「European Standard Style Rollerball Refills」と呼ばれているほどです。ですから、これに近い寸法のリフィルは、探せばたくさん見つかります。LAMYスイフト 純正リフィル(LAMY M66 )も要するにその仲間であり、標準的寸法からの逸脱の度合いが少し大きいというだけなのです。
ところで、PILOT G-2 用リフィルやその仲間たちは、単色ゲルインクボールペン用が中心となっており、選べる色のバリエーションが乏しい傾向があります。黒が主で、選べたとしても赤と青、まれに緑、といったところでしょうか。逆に、欲しい色のリフィルがあったとしても、ペン先の太さやインク種類、価格などについては妥協しなければならなくなります。この仲間の安価なゲルインクボールペンでありながら例外的に多数の色が用意されているPILOT ジュースやPILOT ジュースアップについても、単体で売られているリフィルの色のバリエーションは限られています。
多色ペン用に安価に用意されたカラフルな何十色ものリフィルの中から好きな色のリフィルを選んでLAMYスイフト に入れることができたらいいのに、と私は思いました。たとえば、ブルーブラックとか、ブラウンとか、バイオレットとか、ワインレッドとか。そして、三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルを使ってそれを実現する方法を見つけ出しました。三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルは、色や線幅、インクの種類のバリエーションが豊富です。そしてその中には、三菱鉛筆ジェットストリーム のリフィル(uni SXR-89 )も含まれます。また、三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルと互換性のあるゼブラ プレフィール 用リフィルにも、この方法が使えるはずです。さらに、三菱鉛筆スタイルフィット 用リフィルは「S-7L互換」と呼ばれる標準的な寸法ですので、他の「S-7L互換」リフィルにもこの方法が使えるかもしれません。
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映画「マトリックス リローデッド 」の登場人物「アーキテクト」が手に持っていたボールペンが、このLAMYスイフト でした。 ↩︎
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2024年にLAMY社を買収し完全子会社化した三菱鉛筆は、同社の主力ボールペン「ジェットストリーム 」のインクをLAMY社の人気ボールペン「LAMYサファリ 」に使った「LAMY safari JETSTREAM INSIDE 」を発売しました。この動きがLAMYスイフト にも広がり、この記事に書いたような面倒な作業をしなくてすむようになることを願います。 ↩︎